2010年4月13日火曜日

百姓学(三十)        清水 馨

取り戻そう生物多様性
■国際生物多様性年
 今年は国連が定めた国際生物多様性年です。生物多様性の保全の取り組みを強めようと、今年10月には第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で開催されます。森林の問題に大きな関わりのあるこの問題について考えて見ました。
■生物多様性とは
 よく分かっているようで、よく分からない言葉です。「様々な種類の生物が個体数も含めて数多く生息する」と言い換えればよいのでしょうか。専門家はこのような地域を「ホットスポット」と呼び、世界で34ヶ所を指定しています。「様々な種類の…多様さ」とはいっても、一般的には「絶滅に瀕した貴重種や固有種が多い地域の保全」平たく言えば「珍しい生き物がいっぱいいるところ」と認識している人が大部分ではないかと思います。世界の「ホットスポット」(下表)を見れば、誰しもそんな感じを受けて当然です。

〇熱帯アンデス 〇トゥンベス・チョコ・マグダレナ 〇アトランティック・フォレスト 〇セラード 〇バルディビア森林 〇中央アフリカ カリブ海諸島 〇カリフォルニア植物相地域 〇マドレア高木森林 〇ギニア森林 〇ケープ植物相地域 〇カルー多肉植物地域 〇マダカスカル・インド洋 〇東アフリカ沿岸林 〇東アフリカ山岳地帯 〇マピュタランド・ポンダランド・オーバニ(アフリカ南東部沿岸) 〇アフリカの角 〇地中海沿岸 〇コーカサス 〇インド西ガーツ・スリランカ 〇中国南西山岳地帯 〇スンダランド 〇ウォーレシア 〇フィリピン 〇ヒマラヤ 〇インド・ビルマ(インドシナ半島) 〇イラン・アナトリア高原 〇中央アジア山岳地帯 〇日本 〇オーストラリア南西部 〇ニューカレドニア 〇ポリネシア・ミクロネシア 〇東メラネシア諸島(コンサベーション・インターナショナルのデータより)

 そんなふうに取られている限り、日常から見れば「はるか遠い世界の話」になってしまいます。珍しい生き物の話が前面に出る前に、世界のホットスポットが地球規模の生態系や気候に対して果たしている役割の重要性がもっと広く伝えられなければならないと思います。そうでなければ、生物多様性の話は、一部の学者や自然保護マニアのもので終わってしまうのではないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿