2012年12月19日水曜日

選択の基準

今度の選挙で自民党が大勝しましたが、国民は何を基準に、選択したのでしょうか。「もちろん選択の基準は政策さ」と言いたいのですが、国民が実際行動で示したものは、違っていました▼原発事故後の最初の選挙ともなれば「原発問題」が争点になるはずです。長年自民党が推進してきた原発問題がまさに俎上に挙げられているのに、その自民党が大勝したのです。憲法・TPPなど重大な問題が目白押しではありませんか。それらも今度の選挙ではどこか遠くへ退けられていました▼選択の基準は「政策」ではなく「イメージ」にあったのです。「寄らば大樹の陰」という諺がありますが、国民は「なんとなく頼りになりそう」という「基準」で選択したのだろうと思います▼むかし、戦国時代の百姓は「勝ったほう」に年貢を納めて身の安全を確保しました。武田信玄・上杉謙信どちらが勝っても負けてもその勝敗には加担せず、はたから見ていて「勝ったほう」に米を納めればよかったのです▼そんな「風習」が何百年も続くうちに、国民は勝ち負けに直接関与するのではなく、「勝ち馬に乗る」という方法を選ぶようになったのでしょう。近代国家をつくったかに見える日本民族は、実はまだ戦国時代の慣習に生きていたのです▼これは「民主主義」の原則とはちょっと違っているようです。つまり、日本には「政策で選ぶ」という本当の民主主義はまだ育っていないのです▼「日本人は周りの人が選ぶであろうと思われる人に投票する」と田中康夫氏は言っていました。日本に本当の民主主義が育つのはいつのことでしょうか。大変重い課題が国民の肩に乗っています(S)