2011年4月2日土曜日

ガンバレにっぽん!

イギリスの新聞に「がんばれ日本、がんばれ東北」という日の丸入りの日本語のコピーが載った。その下に英語で Don’t give up Japan と書かれている。つまり英語には日本語の「がんばる」に該当する単語がないらしい。マラソンの選手などを応援するときはCome onなどというらしい▼「がんばる」は比較的新しい単語だという。一万語を駆使したという漱石先生の小説には「がんばる」という語はみあたらないそうだ。かわりに「頑固張る」「我に張る」などが使われていたらしい。それらの語から大正時代に「がんばる」がうまれたらしいのだ▼昭和のはじめベルリンオリンピックで「前畑がんばれ」を連発した実況中継が流れ、その感動から「がんばる」は民衆の間で流行した。しかしスポーツ用語であったため出征する兵士などに「がんばれ」とは言わなかったようだ▼戦後、労働運動などで「がんばる」が多用され、やがて大衆の挨拶語ともなり。こどもが分かれるときに「じゃね、がんばって」などと使われるようになった▼「頑張る」とはどういう意味だろうか。「ベストを尽くす」とも違い、「全力を出す」とも若干ちがう。その人の本来持っている能力以上のもの(火事場のばか力)を引き出そうとする意味合いもある。どことなく力強さも感じる用語だ▼そして何よりも「頑張る」には仲間意識の共有がある。あいまいではあるが日本的な概念というほかない▼「がんばる」は二十世紀の日本民族が、戦争・敗戦の苦難の経験の中からつぐみだした「精神文化」である▼この文化がグローバル化の波に乗って、アフリカや中東諸国で今なお苦難にあえいでいる民衆に希望を与える「福音」となることを願っている。頑張ろうではないか(S)