2010年4月4日日曜日

諏訪湖治水計画の誤算  その1

 2006年7月18日から20日にかけて、諏訪市湖岸通りを中心に広範囲にわたって諏訪湖が氾濫しました。昭和58年に同じような災害がありましたが、その災害後、104億円をかけて釜口水門を新築し、あらたに『諏訪湖治水計画』が立てられたにもかかわらず、なぜ諏訪湖が氾濫したのでしょうか。これには、『諏訪湖治水計画』の基本的な部分に「誤算」があったのではないかと考えられます。
 100年に一度の大洪水があった場合、諏訪湖は秒単位で最大1600トンの流入量になると算定し、その時の湖面の最高水位(計画高水位といいます)を、基準水位(ふだんの水位)から2.2mの高さに設定しました。つまりこの計算では、諏訪湖の水位が2.2mの高さになるまでは氾濫はないという前提に立っていることになります。ところが今回実際に氾濫が発生したのは18日夕刻で、そのときはまだ諏訪湖の水位は1.7~1.8m位しか上昇していませんでした(入流量は秒単位で800トン未満)。つまり最高水位(計画高水位)よりも50cmも低い時点で氾濫が始まったのです。ですから湖面の水位が最高水位に達したときには、70~80cmも氾濫していたのでした。計画高水位が生活者レベル(実際に人が生活しているレベル)より高すぎたことになります。何か誤算があったのではないでしょうか。
 釜口水門操作規則に拠れば、湖面の水位が「計画高水位(2.2m)」に達するまで、水位を上げ続けるように操作することになっています。この方法は、下流の上伊那地区を洪水の被害から守るための、いわば「いたみわけ」だと県は説明しています。
 このように計画高水位を設定するという管理の仕方は、ダム湖に適用される管理方法です。ダム湖であれば、水を貯めることが目的ですから、計画高水位という考え方も納得できますが、諏訪湖のような自然湖であれば、貯めることが目的ではないはずです。ですからダム湖と同じ『思想』で管理されることには無理があります。「貯める」ことよりも「流す」ことに重点を置いた管理方法に転換すべきではないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿